
平成18年2月6日、家裁の調停委員としてご活躍されている伊藤令子先生の事務所を訪問して、 調停委員のお仕事を中心に近況を伺ってきました。

何か漠然と、老後まで渡るようなボランティアをライフワークでやってみたい、その中の一つ として調停委員というものが漠然と自分の気持ちの中にありました。東京会の会務をこなす中で、 いくつかのプロセスを経て応募しました。まず、家裁にするのか、簡裁にするのか、申込みをする について決めなければならなかったのですが、私としては家事事件に携わることが希望でしたので、 迷わず「家裁」を希望しました。
面接は何人もの裁判所関係者に取り囲まれて、話には聞いていましたが圧倒されました。 面接で聞かれたのは、結局自分でも何故志したのかということを書いて出しましたので、それに沿う形で 話が進みました。今までの経歴とか行政書士という職業にすごく関心を示していただきました。私の志望動機を 書いた書面は、「自分は民事法務専業でやっていて、特に、遺言・相続に力を入れてやっているので、その先を 見たくなったので」というような書き方をしました。
結局、争訟性が強くなれば行政書士は弁護士か家裁の調停にバトンタッチをせざるを得ません。 ですから、「私たちとしては一つ川があってここまでしか仕事が出来ない。橋を渡って川の向こう岸に行って みたくなった、という動機がありましたので、その先の仕事が見てみたかったのです」というようなことを書きました。 行政書士が遺言相続をやるということを、面接に立ち会った裁判官は誰もご存知でなかったようで、 「行政書士っていうのは調停に係わり合いのある仕事をしているんだ」という刷り込みができるだけでも手を挙げる 価値があるのかなと思わせるような面接の内容でした。
今は、自分で調停の件数を抑えてしまっていますので、手持ちは10件。たぶん、裁判所から求められるまま入れていると 20件くらいになると思います。家裁の調停の中では、離婚や、離婚に伴う養育費、認知請求など、そのようなものは 一般事件と呼ばれています。そのほかに遺産分割の専門部があって、遺産分割だけは別扱いです。 調停委員は一般委員と弁護士委員とに分かれていて弁護士委員のほうは、遺産分割に特化して、たまに、 それこそ年間1件とかぐらい一般事件をやるというようなやり方です。逆に、一般委員は一般事件を主に やって、その中からピックアップされた人間だけが、たまに遺産分割事件の配てんを受けます。
今、私は、丸1年少々経過したのですが、遺産分割が9件で、一般事件が1件。これをいうと必ず 「じゃぁ、弁護士並みの扱いですね」と言われます。それだけ裁判所のほうでも、「(行政書士は)専門家 なのだ」という認識は持ってくれたのではないかなと感じます。少なくとも、「伊藤には一般事件よりも 弁護士と同じように遺産分割中心で事件を回そう」と、裁判所が意図を持ってくれているのかなと思います。 そのような心証をより大人数で行政書士が与えていくことが、これからの裁判手続の開放にも繋がっていくと思います。 ですから、もっとどんどん裁判所の業務を手掛けて行けば一つの勢力になると思います。私としては、 もっと、たくさんの行政書士にこの業務を手掛けてもらいたいと思います。
自分自身、相続で遺産分割を2度ほど経験し、その当時専門家のアドバイスがあればよかったという思いが今でもあります。 また、長いこと弁護士の手元にいて、何か専門に特化するのであれば、その分野かなという気持ちがあり、実績を積んでいきました。 この分野の業務はやればやるほど奥行きもあるし、面白みがあるのは、自分の人間力を試される点ですね。当事者を 説得したり、当事者の間を調整したり。いわゆるADRの真似事のようなことを、遺産分割でも行います。その時に、 やっぱり、口先だけではなくてその家族にとって一番いい分割方法をこちらも当事者の気持ちになって考えていく。 もちろんプロですから、一線画して専門家としてのアドバイスもしていく。その面白みにはまってしまったみたいなところがあります。
専門家として対応する中で、先のことまで考えてアドバイスをする。「今がよければいい」ではなくて、ずっと 財産を持ち続けるわけですから、家族構成等も考えて、「この財産をこういうような分け方をして、こういう風にやって いったらいいんじゃないかな」という具合に、先々のプロットまで考えたアドバイスを心掛けています。まだまだ税金部分の知 識が自分では不足していると思っていますので、その辺りをもう少し勉強して行きたいと思っています。
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